きみを救うため僕は何度でも過去に戻る。
ストーリー
物語の主人公エヴァンは、ごく普通の少年だった……時折、記憶を喪失してしまうことを除いて。精神科の医師は彼に、治療のために毎日、日記をつけることをすすめる。やがて時は過ぎ、記憶が失われることの多かった日々はすっかり過去のものとなっていた。そんなある日、大学生になったエヴァンは、7歳の頃からつけていた日記を見つける。その日記を紐解いたとき、いつしか彼の意識は日記を書いた当日の陽光の中にあった。忘れていた、ある出来事が鮮烈に蘇る。幼馴染の少女ケイリー、そしてエヴァンと彼女が引き裂かれることになった決定的な理由。“君を迎えに来る”……かつてその約束を果たせなかったエヴァンは彼女への想いゆえ、ある選択をする。それが取り返しのつかない新たな状況を引き起こすとは夢にも思わずに…。「バタフライ・エフェクト」公式サイトより
タイトルにもなっている「バタフライ・エフェクト」とは「ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる。」初期条件のわずかな違いが、将来の結果に大きな差を生み出す、という意味のカオス理論の一つであります。映画の冒頭でも説明がありますが意味を知っているほうがより映画を楽しめると思います。
とにかく、こんなに切なくて悲しいハッピーエンドの物語は初めてでした。
観終わった後も何度も何度も思い起こして考えてしまう…そんな深い意味を持った映画です。主人公が過去に戻るという話はこれまでに何度も映画化されていますが、この映画では主人公が戻ることにより、悪いこと、良いこと含めて新たな結末が色々提示されてくるのがとても面白いと思いました。
主演のアシュトン・カッチャーが自分がなぜ記憶を無くすのか、一体何者なのか苦悩する青年を見事に演じきっています。また子役達の演技にも注目です!!
点数9点(絶対見て欲しい!(笑))
<ネタバレ>
人生において、いや日常においても人は幾度も選択を迫られる。その時の一瞬の判断が良かったのか、悪かったのか後々振り返ることも時にはあるだろう。あの時、こうしていれば今頃…とほっとしたり、後悔したりすることはなかっただろうか?私は時にこんなことを考えたりする。この話の面白いところは、主人公が自分が日記に綴った過去に戻ることができることだ。だがただ単に過去に戻れてしまう今までのタイムとラベルの話と比較しても、その行為によって生じた変化によって脳内における全ての記憶が作り変えられ、結果として脳内出血を起こし生命に次第に重大な危機を及ぼしてしまうというリスクが伴っているところが妙にリアリティを見る者に持たせる。
(実際にはたぶん死んでると思うけど(笑))
主人公がなぜ、命の危険まで冒して何度も過去に戻るのか??
それがこの映画のもう一つの重要なテーマであろう。
…「愛する人を救うため」である。だがどの過去にもそれぞれ恐ろしい結末が待ち構えており、一体どうすればいいのか??もうだめなのか?
ハラハラドキドキさせられる。もう、ここで終わりなのか??と諦めかけたところであのラスト。愛する人と出会わないことを選択することで、双方にとって幸せな未来がやってくるなんて…ほっとしたと同時にとても悲しくなった。それでもラストシーンで主人公が彼女と街で偶然にすれ違うシーンでは賛否両論だが、私はあの二人がこれから本当に幸せな未来を築いて行くのではないのか??という希望的観測を持ちたいと思う。
別バージョンのラストもあるらしいが、そちらも一度見てみたいと思う。
それにしても、エヴァン自身にとって幸せな時期は2番目の過去のあの一瞬だけだったのだろうか?そう考えるととても切ない。